「はじまり、はじまり」と扉がひらく。 (フクロウの声が聞こえる/小沢健二-レビュー)

 どうも。はじめまして。

1年以上前から記事無しのブログとして存在していたのだが、遂に重い腰を上げて一筆おろすことにしようと思う。

北朝鮮がミサイル1発打つ度に1記事更新できるくらいのペースを保つのが目標である…

 

さて、今回の記事のタイトルは、初記事であることにかけて小沢健二氏のニューシングル「フクロウの声が聞こえる」から歌詞の一部を引用させて頂いた。

 

小沢健二といえば、

自分達が生きている、この世界を完全に受け入れた「ラブリー」

迷いながらも、悠久の時を越えてバトンとして繋がってきた自分達の命に美しさを感じ、力強く生きていくことを決意した「天使たちのシーン

自分自身を全肯定できるほどの他者との繋がりを得ても、いつかは終わりがくる。しかし、それは記憶から消えても完全になくなるものではなく 、心の中に優しさ、美しさとして残り続けると説いた「さよならなんて云えないよ」

などなど自分達の暮らし、恋人や家族や友人との触れ合いなどの日常的な事柄から「生きていくこと」や「連続性」について表現し多くの曲を残してきた。

彼が伝えたいと思われることは、とても高尚で難しいことなのだが、そのどれもが何回も聴いている中で感覚的にストンと腑に落ちてくるのだからとても不思議である。

かつて、タモリが小沢に対し、「深みのあることを簡単に何の嫌味もなく書けるっていうのが一番凄いことだ。」と賞賛したそうだが、まさにその通りである。

自分が知る限りでは、他にこんなアーティストは日本にいないし、世界にも恐らく、いないであろう。

 

と、ベタ褒めであるが、

今回のCD音源の初聴きは、正直鳥肌がたった(悪い意味で)

「フクロウの声が聞こえる」自体を聴いたことはCDなどを除けば大きく分けて4回程ある。

1回目は2016年の魔法的ツアーで、初披露されたとき。

2回目は今年開催されたフジロックのホワイトステージ。

3回目は先程記述したCD音源の初聴き。たしか、ラジオだったかな?

4回目はミュージックステーションに彼が出演したとき。(余談だが仕事が遅くなり生では見れなかった…ファッキン!)

1回目と2回目は小沢健二ワールド炸裂とも言うべきか、その完成度の高さに度肝を抜かれた。そして彼は、フジロックにて今回のシングルを9月6日にリリースすることを発表し、筆者は毎日、その日を心待ちにしながらカレンダーに×印をつけ、苦行の日々を乗り切っていた。

 そんな日々の中、リリース直前に渋谷のマルイにて巨大広告が現れる。↓

f:id:freshlemonade:20170916112558j:imageコラボ相手が誰になるかの予想はインターネット上を中心に白熱していた。宇多田ヒカル椎名林檎星野源SEKAI NO OWARI、はたまたフリッパーズギターの元相方コーネリアスこと小山田圭吾…etc

自分なりの予想では、椎名林檎あたりが妥当であるが、名前が隠されている葉っぱのスペース的にSEKAI NO OWARIも可能性的に大であると心配をしていた。そう、筆者はSEKAI NO OWARIのことをあまり受け付けてないのである。理由は自分でもよくわからないけどな!

案の定、不安は的中する。↓

f:id:freshlemonade:20170916114438j:image正直がっくりきたが、CD音源を聴くまでは、なんとも言えなかった。

その次の日あたりにはもう全国のラジオで先行的に流され始めていた。無論、自分もその流れで聞いたが、前述の通り初聴では「うわ、なんだこれ、、、」っていう感想が心の奥底から出ているのを否めなかった。SEKAI NO OWARIのVo.であるFukaseの歌い出しで始まる、その曲はChildishに聴こえ、魔法的ツアーやフジロックで聴いた突き刺さすように壮絶な歌詞を提示してくる「フクロウの声が聞こえる」とは別物になっているように筆者は思ってしまった。

 

そんな風に思いながら、一応聴いてみっかっていう何とも傲慢な態度をもちつつカップリングでもある「シナモン(都市と家庭)」を目当てでAmazonさんに発注をかけた。

Amazonさんからの到着も遅くなり、Mステの録画を土曜に見たのだが、ここで今まで自分が抱いてきた浅はかな感想は打ち砕かれることになった。

最初のほうにも書いたが、小沢健二の曲は何回も聴いている中で感覚的にストンと落ちてくる。だが今回は、TV-LIVEという映像を通すことでより早く自分の中で咀嚼できたと思っている。そして、今回のコラボに関しては、SEKAI NO OWARI以上の適役はいない。という考えに改めさせられた。まあその経緯は読んでいくうちに分かると思います。Mステに関しては、宇野維正さん(あんまり好きじゃないんだけど)に言いたいことを全て持っていかれちゃってます。↓

 

 

「フクロウの声が聞こえる」は「灰色」との闘いを宣言した曲であると考えている。

「灰色」って何ぞやって知らない人が見ると、そう思うはずだが、小沢健二が執筆している小説「うさぎ!」に度々登場してくる。フジロックのピラミッドガーデンでミッキーマウスの真似をした彼により読まれたモノローグの一部から言葉を借りると「この世の中には裏がいろいろあるんだよ!」と、、、その中の「世の中の裏」っていうフレーズを、この場では簡易的に「灰色」と思ってもらってよい。

 

分かってる人は既に多いと思うが、この曲は父と子が語り合うような形式で進められていく。

子供がいつか育ち、

本当と虚構

混沌と秩序

絶望と希望

孤高と共働

残酷さと慈悲

ベーコンといちごジャム

これらの相反するものが共存する世界(現在の社会)へと旅立っていく。それは彼の子供に対してだけではなく、ミュージシャンとしてのメインストリームを降り、灰色を俯瞰した位置で見つめることが出来ていた彼自身も、その目の中に飛び込んで世の中を変えていくことが力強く得意のテイストで表明されている曲である。

 

「人生は一度きりしかないから、変えなきゃと思うことがあったら変えていいんだと思います。」 

 これは、彼が復帰直後のTVで言った言葉だがまさにその通り物語が進もうとしている。家庭だけではなく、都市のスーパーヒーローにもなろうとしているんだと思う。

今の彼には「実直さ」と共に、ほのかな「危うさ」みたいなものも少々感じる。どのように動いていくかは全く予想がつかないが、とりあえず楽しみにしていようと思う。

近いうちにNHKのSONGSに出演するらしいが、公式サイトで収録について「複雑で危険な、リアクションが必要な空間だった」と称していた。ON-AIRで筆者が感じた「危うさ」みたいなものが見れるかもしれない。今は放送を待つのみ!

 

とりあえず初めてブログ書いてみたが、書き方がよく分からない上に、まとまりのないボリューミーな中身スカスカ鍾乳洞イチゴのようになってしまった…

まあ気がむいたら、あること、ないことをボチボチ更新していこうと思う。

 

「はじまり、はじまり」と扉がひらく。

  

【今日の一曲】

こういう紹介ずっとやりたかった… DJというか自分のラジオ番組持ってる感覚するから。

では、

September/原田知世 

September

September